•  最近,福岡伸一さんが書かれた「生物と無生物のあいだ」というたいへん面白い本を読みました.この本によると,生物が受精卵から一個の生体へと成長する過程は,後戻りできない不可逆的な変化の連続であるそうです.生物の発生の過程において,体を構成するあるピースが出来上がると,そのピースと相互作用をしながら別のピースが次々と形成されていくのだそうです.
  •  設計プロセスもこれと似ているのではないかと思います.ある部品の配置や構造などを決定すると,その部品に依存して,その他の部品の配置や構造が決定されていきます.この結果,設計が進むにつれて最初に決定された部品の配置や構造の影響は製品全体に広がっていくことになります.さすがに,設計は不可逆的であるとは言い切れませんが,ほとんどの場合,開発日程上の制約や共同作業をしている他の設計者との関係から,一旦決めた設計を変更するのは,なかなか難しいことでなはいかと思います.
  •  設計プロセスを成り行きにまかせて行っていると(例えば,決め易いところから決めていく),前工程の作業が,実ははるかに後工程の作業結果に依存しているというような工程になっていることがよくあります.このような工程が何を引き起こすかというと,前工程で決めたことを変えたくないあまり,後工程で無理な設計をすることになります.これを積み重ねていくうちに,後工程になればなるほど,本来の理想的な設計解とは異なる選択をするようになってしまいます.
  •  このような事態に陥るのを防ぎ,それぞれの工程が理想的な設計解を選択できるようにするにはどうすればよいのでしょうか.それは,工程の依存関係に沿った作業手順を踏んで設計を行っていけばよいのです.ここでは,Design Structure Matrix(DSM)という方法を使って,作業の依存関係に沿った設計手順を導く方法について説明します.
  • 1.定義間の依存関係について
  • 2.DSM
  • 3.最適化事例