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    NASAの設計プロセス     2006年03月16日
  •  NASAは世界最大の研究開発機関のひとつで,数々の困難なミッションを成功へと導いてきたエンジニアリング集団です.NASAのミッションは常に”一発勝負的”ですが,それゆえ全ての起こりうる状況を事前に想定することが求められています.
    下表は,そのミッションを支える設計開発プロセスのライフサイクルです.

  • PHASE: A
    Preliminary
    Analysis
    B
    Definition
    C
    Design
    D
    Development
    E
    Operations
    Activities: Conceptual studies

    Exploration of
    alternatives
    Preliminary design

    Concept solution
    Detail design

    System development
    Final design&development

    Fabrication

    Test
    Support

    Product improvement
    Requirement
    Related
    Documents:
    Program Plan

    Draft System
    Specification
    Baseline System
    Specification
    Segment Specs

    Element Specs
    Maintain Specs Maintain Specs
    Review: SRR ......................PDR CDR SAR FRR ORR
     * 実際はPHASE Aの前にPRE-PHASE Aがあるが、省略した
  •  このプロセスの中で重要な役割を果たし、設計品質の向上に寄与しているのがデザインレビューです.表内にはその代表的なもののみを示しています.特に重要かつ大規模なレビューはPHASE B終了時に特定のテクニカル領域と主なサブシステムのデザイン凍結に際して実施されるPDR、及びPHASE C終了時にコンポーネントとサブシステムに対して行われるCDRです. 
     SRR : System Requirement Review
     PDR : Preliminary Design Review
     CDR : Critical Design Review
     SAR : Systems Acceptance Review
     FRR : Flight Readiness Review
     ORR : Operational Readiniess Review
     これらのレビューはオフィシャルに計画されて実施される活動ですが,その他にエンジニア同士が相互に成果物を検証しあうPeer Reviewと呼ばれているデザインレビューが数多く実施されています.

     PHASE Aの主なアクティビティー
     ミッションのハイレベルな要求事項の検討,及びそれらに対応する評価の判定基準の検討,プロジェクトの制約とシステム間の境界条件が明らかにされる.また、複数のデザインコンセプトが、実現性、リスク、コスト、スケジュール、技術的要求の観点から評価される.

     PHASE Bの主なアクティビティー
     機能要件の洗い出しと、システム及びサブシステムの設計仕様の構築が行われる. 正確なスケジュールとコストの見積の為に必要十分な詳細度まで技術的要件が明細化されるのもこの段階です.PHASE Bは技術とビジネス的な観点からのプロジェクトの基本を固めること目的とされ,そのためにシステムとサブシステム要件と仕様、設計、検証及びオペレーション計画、スケジュール、コスト、マネジメント計画などの技術とプロジェクトの基本線が定められます.

     PHASE Cの主なアクティビティー
     設計を完成させるためのPHASEです.この段階のアウトプットは実際の製作、評価に耐えるものでなければなりません. その為に設計仕様、要件も詳細レベルまでリファインされます. 同時に、評価計画のりファインも行われます.

     PHASE Dの主なアクティビティー
     設計されたシステムの製作、構築が行われ、設定された諸要件への適合性が評価されます.プロジェクトの経験(Lessons Learned: http://www.nasa.gov/offices/oce/llis/home/ にてその一部が一般公開されている)がドキュメント化されます.

     PHASE Eの主なアクティビティー
     実行及び運用PHASE。 プロジェクトの経験がドキュメント化されます.

    参考文献
     ・ Chao, Ishii and Tumer 2004 ”Design Process Error-Proofing : Engineering Peer Review Lessons from NASA",Proceedings of the ASME DETC, Salt Lake City, UT.
     ・ NASA Systems Engineering Handbook