


 |
-
| ポールとバイツの体系的アプローチ その1 設計プロセスの主要フェーズ 2006/05/11 |
-
- 設計プロセスは製品の種類によってそれぞれ異なるものであると多くの人は考えているのではないでしょうか. 例えば自動車のエンジンとブレーキの設計プロセスには共通の部分など存在しないようにも思われます. しかしながら, それらの異なる製品が,ある共通の進め方によって設計できるのであれば,そのプロセスを身に着けた設計者はあらゆる製品に対応できる総合的な設計技術を身に着けたことになります.
そのような設計プロセスの体系化を成し遂げたのが,G.ポール(G.Pahl)とW.バイツ(W.Beitz)です. 二人は世界的に有名なその著書「工学設計−体系的アプローチ」(オリジナルは1977年ドイツ語にて出版、日本語版は1995年に初版発行)で,その詳細な方法を説明しています.体系的な設計プロセスとはどのようなものなのか,この著作を何回かに分けて紐解いてみたいとおもいます.
その第一回として、今回はポールとバイツが4つに分類した設計プロセスの主要フェーズについて鳥瞰してみることにします.
日本語版(と英語版)の「工学設計−体系的アプローチ」ではその4つの主要フェーズを以下のように翻訳しています.
・ 役割の明確化 (Clarification
of the Task)
・ 概念設計 (Conceptual Design)
・ 実態設計 (Embodiment
Design)
・ 詳細設計 (Detail
Design)
「役割の明確化」というと少しわかり難いですが,体系的アプローチの最初のフェーズであるこの段階は、製品に対する要求事項を明確化するフェーズです. 製品に求める明示的な役割は勿論のこと,暗黙の要望や期待、制約条件、可能な開発方法などもこの段階で明らかにして行かなければなりません.
「概念設計」では、まず、製品が解決すべき問題を抽象的に記述します. 次に、その記述に従って全体機能の構造をブロックダイヤグラムによってモデル化します.各ブロックは個々の機能を表し、ブロックはエネルギー、物質、信号の流れによって接続されます. 全体機能は必要に応じて下位機能に分解します. また、このブロックダイヤグラムとは別に各機能の論理的な関係(if-then関係)を記述します.
これら一連の機能構造、論理構造の記述を基に,それぞれの下位機能を実現する設計解原理の探索を行います. さらにそれらを組み合わせて全体機能を実現させます.
「実態設計」においては、概念設計で探索した設計解の全体レイアウト、構成部材の形状と材質、および製造工程を決定します. また、すべての補助機能に対しての記述を行います. これらの決定内容は縮尺図面を描くことによって明示化し、技術的・経済的な観点からのデザインレビューによって評価します.
「詳細設計」では、全ての部品の配置、形状、寸法、表面特性、材質を決定し、技術的・経済的な実現性を再評価します. さらに,全ての図面と生産のためのドキュメントを作成します. 多くのトラブルは細部への些細な不注意から引き起こされますので、細心の注意を払って作業を進めなければなりません. 同時に、原理、レイアウトおよび形状の最適化を実施します.
今回は概要のみを記しましたが、今後数回に分けて各主要フェーズの内容を詳しく見て行くことにしたいと思います.
-
  |