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    確率論的リスクアセスメント(PRA: Probabilistic Risk Assessment)の話    2007/10/13
  • 確率論的リスクアセスメント(PRA)は,原子炉の開発やプラント開発,宇宙開発などミッションクリティカルな開発作業において,システム上のリスクを確率論的に評価することによって,定量的な指標に基づいた意思決定を行っていくことを目指した総合的な方法論です.具体的には,FTA(故障ツリー解析)、ET(イベントツリー解析)、ベイズ統計などの複数の手法を組み合わせて故障の発生確率を定量的に評価するための分析ステップです.

  • ここでは,一例としてNASAのPRAガイドで推奨されているPRA手法を用いた分析ステップを紹介します.
    以下の表にあるように,NASAではPRAの実行ステップを予備的な作業も含めて11のステップに分割して実施しています.
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    ステップ 内容
    1.PRAの目的とスコープの明確化 PRAを実施する目的を明確化する.通常,PRAの目的やスコープはプロジェクトの目的そのものとは同じにはならない.プロジェクトの達成を阻害する重大なリスクの評価などを目的とし,分析の範囲を規定する.
    2.プロジェクトの成功条件定義 どのような状況が達成できた場合にプロジェクトが成功したといえるのかを明文化する.
    3.プロジェクトの終了条件定義 プロジェクトの成功と失敗による終了条件を記述する.
    4.開発対象システムの理解 システム構成,システムの操作,設計のねらい,故障モードなどの記述や分析を通じてリスクを評価しようとしているシステムに対する理解を進める.対象システムの正しい理解なくしては,正しいリスクのアセスメントは不可能となる.
    5.開始イベントの作成 同類の設計経験者やエキスパートによるコンサルティング,ブレインストーミング,過去の経験の調査,システムシミュレーションの実行などを通じて,故障や障害の出発点となる開始イベントを広範囲にリスト化する.
    必要に応じてマスターロジックダイヤグラム(MLD)やFMEAを用いて開始イベントを導く.
    リスト化された開始イベントをグルーピングし整理する.
    6.ESDアナリシス 開始イベントごとにイベントシーケンスダイアグラム(ESD)を開発する.
    7.開発対象システム成功条件定義 システムの冗長性と操作時間の2つの観点から,どのような条件を達成すれば成功といえるのかを定義する.
    8.ETアナリシス ESD基にイベントツリーを記述する.
    9.FTアナリシス 開発対象システム成功条件より論理的に導かれたトップイベント(システムが成功しない条件)より故障木(FT)解析を行う.
    10.データアナリシス 定量的な評価の基となる基礎データの収集と決定を行う.
    11.モデルの統合と定量評価 故障の確率密度を計算する.
  • 以上のステップからも理解できるように,PRAは信頼できるデータを基に故障の発生確率を定量的に導き,設計開発上の客観的な意思決定を支援する手法である反面,その実行には極めて複雑な手続きと多大な工数が必要となります.それゆえに,設計開発上のリスクを確率論的に扱うか,従来よりの決定論的に扱うかはその重要性によって使い分けが必要になると考えられます.
  • PRAについて詳しく学びたい方は,NASAのPRAガイドを参照されることをお勧めします.http://www.hq.nasa.gov/office/codeq/doctree/praguide.pdf